最近、この論文を斜め読みした。
ACM DRM 2002 の論文 "The darknet and the future of content distribution"
P. Biddle, P. England, M. Peinado, and B. Willman (Microsoft Corporation)

http://crypto.stanford.edu/DRM2002/darknet5.doc

この論文は DRM の効果と Darknet の関係(≒アングラネット)の話を書いているのだが、要約するとアングラでの流通は以下の4種類に分類できると分析している。

1. FD 等の物理メディアで手渡し:流通速度は遅い。範囲も限定
2. web, ftp 等: 流通速度は早い。サーバ/クライアント形式なので取締しやすい
3. Napster 等: 流通速度は早い。取締はしにくい。INDEX サーバのみの取締はできる
4. GNUTera 等: 流通速度は早い。取締はほぼ不可能。ただし、コンテンツを流す人は少ないから法的手続きをとれるかも?

結論として、Darknet が十分広まれば DRM の効果は薄くなってしまう。つまり必要以上に頑張ってもペイしないと解釈できる。DRM は行き過ぎると正当な所有者ばかりが損をする(e.g. CCCD等)ので、そろそろDRMも考え直す時期に来ているなぁと思う。

日経バイト 2003/09 号 「ユーザを不幸にしないコピープロテクトかくあるべし」がおもしろい。DRM 技術のサーベイとしても簡単で読みやすくまとまっているが、DRM を厳しくする以外のアプローチについても触れているところが興味深い。DRM 技術を厳しくする以外の落しどころを探す流れも出始めているので、もっとこういう方向に進んでくれるといいなぁ。